ナレーション:(私たちは日々、何も不自由なく暮らしています。しかし、一歩間違えば、ボタン一つで世界を不幸に陥れる可能性があることを、決して忘れてはなりません。)

ナレーション:(さて、ここで未知の宇宙に目を向けてみましょう。宇宙は無限に広がり、未知に満ちています。多くの作家が昔から作品を生み出してきました。この物語も、宇宙を題材にしています。多くの情報が飛び交う現代に生きる人々に、異なる宇宙環境で育った男女の冒険を通じて、人が追いついていない行き過ぎた文化科学と滅びゆく生態系や宇宙進出に警告と見直しをメッセージとして送ります。)

また、物語を短くまとめると、「地球人以外のアイヌには死という概念はなく、ただステージを一つ越えたということになる。」という独自の概念を基に、オリンポスアイヌの子孫であるオリンピアアイヌたちが、人間の一郎とともに宇宙船で冒険を繰り広げ、人間の科学文化と生態系の危機に警鐘を鳴らす、という内容です。


プロローグ「大宇宙船団」


オリンポス星はかつて、その青く輝く大気と緑茂る自然から成る美しい星だった。住人オリンポスアイヌは神秘的力『マナ』を使って天体の守護神『ワリウネクル』とコミュニケーションを取り、宇宙が消滅しないようにバランスを保つ宇宙の法則『ジッヒスターラ』を守り、彼らは自然と共存し生態系が崩れないようにこの星を守り続けた。しかし、オリンポ星の寿命が迫り自然崩壊の危機に直面した結果、人々は他の天体への移住を余儀なくされた。

オリンポスアイヌは数千の宇宙船で新たなる居住地を求めて宇宙へ旅立った。何十年もの間、彼らは新しい居住地を探し求めて宇宙をさまよっていた。彼らの旅は長く、孤独で、時には絶望的だった。彼らの目に映るのは、無数の星々と、遥か彼方に広がる無限の宇宙のみだった。しかし、食料も水も底をつき始め、彼らは飢餓と乾燥に苦しみ始めた。何十年もの間に、彼らの船は徐々に老朽化し、修理が必要な部分も増えていった。それでも彼らは諦めず、新しい居住地を求めて旅を続けた。だが、その旅は永遠に続くかのように思え、彼らは永遠の放浪者になろうとしていた。

先頭で警戒と船団の案内をするのがチュプ01号だった。チュプとはオリンポス語で「鳥」の意味であり、彼らは自分たちの艦に愛着を持っていた。チュプ01号には100名の選び抜かれた搭乗員がいたが、その中でも特に目立っていたのが艦長ルシアと副官のリットーだった。ルシアは太陽のように輝く黄金色の長い髪を持つ美女であり、リットーは金髪の長いイケメンだった。二人は航空学校の同期生で、ルシアは艦長として任務に忠実で冷静沈着な性格だった。もちろん、リットーも任務に忠実な士官で冷静沈着な性格ではあるが、少々子供っぽいところもあった。二人はよく口論したが、それでも互いに信頼し合っていた。更にオリンポスの人々の特徴は『名前を短くしたルシアをルシの様にニックネーム』で呼び合っていた。



ルシアがキャノピー(操縦席の窓)の外を指差しながらリットに言った。
ルシア:「リッ。あれ見て、赤い惑星の向こうに蒼く輝く惑星は、オリンポスそっくりだわ?」

リットーは、直ぐルシアの指さす方向に視線を向けながら聞き返した。

リットー:「ルシ。衛星も一つあるよ。もしかしたら、オリンポスの様に水や緑が豊富にあるということも考えられるね?」

ルシアは期待に満ちた声でリットーに言った。
ルシア:「大気と水さえあれば、新たな命が育つ。私たちはついに新しい故郷を見つけたのかもしれないわね、リッ」

オリンポスの全艦船に搭載されている(ナビゲーションコントローラ)は防衛、探査、分析、通信、計算等コントロールをする高度な装置だ。チュプ01号では黒髪美女ミチルシアがオペレート担当していた。特に人工知能AIライザと彼女のコミュニケーションは抜群だった。AIライザは各基地固定のマザーライザとライザの2種類有り、ナビゲーションコントローラの中枢をも担っていた。オリンポスから持ち出された最新技術であり、彼らの頼りになる存在だった。



ルシアはすぐ横にいたナビゲーションコントローラ担当の黒髪美女ミチシアに、ライザとの交信を頼んだ。
ルシア:「ミチル大尉、ライザに分析を頼んでくれますか?」

ミチルシアはルシアの指示を確認した。直ぐにライザとコミュニケーションをとりデータ分析した。
ミチルシア:「ルシ大佐、了解です。ライザの分析開始します。《ライザ、本艦が向かっているあの蒼い天体に居住できるか分析頼むわ》」

AIライザはそれにすぐ音声で答え分析開始した。

AIライザ:「《了解ミチル。蒼く輝く惑星をアナライザー(探査船)で居住調査する》」

まもなくライザは音声とモニターの数字で、分析結果を出力した。

AIライザ:「《計測中、地表付近の平均大気は、水蒸気を除けば、窒素(78.08%)、酸素(20.95%)、アルゴン(0.93%)、二酸化炭素(0.03%)、環境大気における汚染物質濃度はppm(1%の1万分の1)、またはppb【1%の100万分の1】あるいはppt【1%の1億分の1】人が住める確率は90%から100%ピー、ガー、100%》」

ライザの報告をミチルシアがルシアに報告したが、音声にあったノイズ(ピー、ガー、)が気にかかった。

ミチルシア:「ライザの報告によれば、人が住むのに適した環境の確率は90%から100%の間です。しかし、微妙なノイズが混入しているため、完全な確信を持つことはできません。このノイズは、蒼い惑星の特異な環境がライザのシステムに影響を与え、故障を引き起こしている可能性があります」

モニターと音声を耳にしたリットーは喜んだ。顔が明るく輝き、声には興奮と安堵が混ざっていた。
リットー:「100%、本当かミチル?これは信じられないよルシ、僕たちは救われたんだ」

ルシアは、ミチルシアの言った「微妙なノイズが混入?」という報告が気になった。
ルシア:「リッ、ちょっと待って。まだ確信は持てないわ。この惑星には生物や現象があるかもしれないし、他の文明が存在する可能性もあるわ。まずは、士族長のゴットーに相談して、指示を待ちましょ」

リットー(心の中):「”ルシの言う通り、まだ確信は持てない。でも、この新しい惑星が私たちの新しい故郷になれば素晴らしい”と思った」

リットーは、先走った自分に反省しルシアに謝った。ルシアもリットーに本当の気持ちを伝えた。

リットー:「ごめんルシ。僕の先走りだ、ゴットに確認する。でも、君と一緒に新しい故郷を見つけることができて、本当に嬉しいよ」

ルシア:「もちろん私もよ、リッ。私たちが一緒に新しい故郷を見つけられるなんて、夢みたいね」

リットー:「こちらチュプ01号の副官リッです。ベンチャイ(司令母船)に連絡します。船団前方にある赤い惑星の向こうに、オリンポスと環境が100%類似した蒼く輝く惑星を発見しました。しかし、疑問点が残っています。ゴットと元老院委員に相談したいと思います。」

リットーの報告を受け取った母船ベンチャイの『ナビゲーションコントローラ』担当の黒髪美女ミクシリアはリットーに再確認し宇宙船団司令官サザーラ将軍に報告した。
ミクシリア:「ベンチャイ(司令母船)ミク少尉了解しました。リッ大佐、復唱します。”赤い惑星の向こうに蒼く輝く惑星を発見した。ライザがオリンポスと環境が100%類似と分析した。しかし疑問点が残るので相談したい”以上でよろしいでしょうか?間違いなければ艦隊司令に報告しゴットに申し上げます」

このミクシリアの受けた報告はすぐに艦隊司令のサザーラ(金髪髭面の堅実で冷静そうな背の高い男)に届き、彼はすぐにそれを族長のゴットー(黒髪髭面の温和な中肉中背の男)と元老たちに伝えた。

サザーラ:「ゴット、チュプ01号が発見。しかし、ゴット相談したいとのことです。」

ゴットーは歓喜のあまり慌てて報告するサザーラに微笑んだ。
ゴットー:「落ち着きなさい。サザ、何を発見したというのか?」

ようやく落ち着いたサザーラが報告しなおした。
サザーラ:「すいません。次なる大地です。今チュプ01号から、報告がありました」

ゴットーはサザーラにモニターを起動するよう頼んだ。サザーラは頷き、手際よく操作を始めた。モニターの画面が一瞬、真っ暗になった後、静かに映像が映し出された。それは、遥か彼方の星空から見下ろした、青く輝く惑星の姿だった。

ゴットー:「それは本当か、サザ、モニターを出してくれ」

サザーラ:「はい、ご覧ください。このまま何もトラブルが無ければ、あと少しで到着します」

ゴットー:「おお。なんと美しい星なんだ。まるでオリンポスのようだ」

チュプ01号の大発見が、大宇宙船団の隅々まで知れ渡り、人々は喜び、あるものは地上に降りれると、泣いた。ゴットーは船団の代表による、ミーティングを開き決断を仰ぎ。公正な判断を仰ぎこの惑星に永住する決意をする。

ゴットーはその美しさに側にいた小柄な痩せ型の赤ん坊を抱いた美しい女性、妻のホトケールに言った。
ゴットー:「ホトケ、見てごらんこれが次なる大地だよ」



ホトケールは腕に抱いた赤ん坊ゾーラに透き通るような美しい声で言った。

ホトケール:「本当にオリンポスのように青く輝く美しい星ね。坊や、よく見てごらん。あれがこれから我々が行く新たな大地よ」

やがて、彼らの船団は、木の葉が散るように、その蒼い中に舞い降りていった。しかし、彼らは空腹と長い旅に疲れ果て、宇宙では移住する前に絶対行わなければならない契約の儀式。神秘的な力『マナ』を介して天体の守護神『ワリウネクル』と行う入植時のコミュニケーションを忘れてしまった。彼らが犯した過ちが、守護神『ワリウネクル』の怒りを買い、守護神『ワリウネクル』は恐ろしい『ウェン』へと変貌を遂げた。この変貌が、彼らの運命を大きく狂わせる引き金となった。しかし、その時点では、彼ら自身がその事実をまだ知らなかった。

我々が人と呼べるものが未だ存在しない、遥か昔の話から始まった。物語は現在の日本へと続く。次回は第一章(追われる金髪美女)スタート。乞うご期待!


物語の主要な要素を簡潔に伝えています。ただし、物語の詳細やキャラクター間の関係性などは省略されています。それらを理解するためには、全文を読むことをお勧めします。



・・To Be Continued・・



データ 本文*で囲った言葉*

※※ベンチャイ⇒オリンポスの科学が生んだ収容10.000以上の大型居住区型宇宙船の愛称
※チプ⇒最大乗務100名の中型偵察警備船の愛称で、防衛武器搭載今回は護衛と先導もしていた。
※オブ⇒sagatシガト(地球監視監視隊)最大乗員20名の小型の偵察警備船オブ6まである。
※ライザ⇒オリンピアの科学でできた人口頭脳の愛称で我々の言うAI
※チュブ⇒本編では宇宙を守る人々の言葉で我々のいう太陽のこと
※ベノ⇒本編では宇宙を守る人々の言葉で銀河を意味する。
※ノチュ⇒本文でオリンポス語の星や天体を表す。
※暗黒星雲⇒(あんこくせいうん、dark nebula[1])とは天体の一種で、背後の恒星などの光源によって影として浮かび上がる星間雲(周囲よりも高密度の星間ガス宇宙塵が、他の宙域より濃く集まっている領域)のことをいう。ここでは遠い暗い星雲を意味する。遠い場所の強調表現



(注)挿絵はオリジナル画と、フリー素材イラストACさん、イラストボックス、イラスト屋さん、街の記録さんなどのフォトやイラストをDLし、模写しています。内容イメージに合うよう色や季節感など変たりし、オリジナルと合成して使っています。ウィキペディア(Wikipedia)ウェブリオweblio、街の記録にリンク貼っています。問題ありましたらメールかコメントください。

(注)またオリジナルや改定オリジナルの著作権利はCNBweb日本放送ーradio室に全てありますので、転写はご注意下さい。


hiro900 

手嶋 広

フィクションもどきに最後までお付き合いありがとうでした。 子供のころからサイエンスフィクションが大好なおじさんがイメージしたことを文章化してみました。 嫌じゃなかったら、またお寄りください。次回もまっています。 注:これは小説ではありません。僕の創ったメッセージフィクションです。文中にたびたび出る(アイヌ)は(人、人間、人類)のことです。特定地方の士族を指すものではありませんので、ご理解ください。

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