ナレーション:(私たちは日々、何も不自由なく暮らしています。しかし、一歩間違えば、ボタン一つで世界を不幸に陥れる可能性があることを、決して忘れてはなりません。)

ナレーション:(さて、ここで未知の宇宙に目を向けてみましょう。宇宙は無限に広がり、未知に満ちています。多くの作家が昔から作品を生み出してきました。この物語も、宇宙を題材にしています。多くの情報が飛び交う現代に生きる人々に、異なる宇宙環境で育った男女の冒険を通じて、人が追いついていない行き過ぎた文化科学と滅びゆく生態系や宇宙進出に警告と見直しをメッセージとして送ります。)

また、物語を短くまとめると、「地球人以外のアイヌには死という概念はなく、ただステージを一つ越えたということになる。」という独自の概念を基に、オリンポスアイヌの子孫であるオリンピアアイヌたちが、人間の一郎とともに宇宙船で冒険を繰り広げ、人間の科学文化と生態系の危機に警鐘を鳴らす、という内容です。


第一章『追われる金髪美女』第二節『ドライブイン』


第二節に入る前に、ここまでの一部を振り返ってみよう。北海道出身のトラックドライバー、中川一郎は山梨から横須賀へ向かう途中で目の前に飛び出した金髪美女と出会う。彼女は黒服の男たちから逃げており、一郎は彼女を助けることを決意した。

一郎と女性がトラックの左右のドアを力強く閉めた。
”バタンバッタン”

女性が安全に乗ったのを確認すると一郎は彼女に脱出する合図を送った。
一郎:「行くよ。シートベルト大丈夫?」

彼女は一郎の正義感に素直に従った。
女性:「はい。OKです」

トラックのエンジン音を上げ、小石をはねた音と同時に、一郎と女性は危険な場所から無事脱出した。
”ロロ、ジャ、ドオオー”

さて、続きは、無言の二人を乗せたトラックは国道137号御坂峠を越え、河口湖に出た。一郎は追っ手を混乱させるためため、国道138号東富士有料道路に乗らず、少し渋滞もあるものの、走り慣れた国道413号富士吉田から、国道138号山中湖へと篭坂峠を越え、県道151号須走小山線へと進み、さらに、県道150号御殿場足柄停車場富士公園線を通り、古沢に抜けるルートを選んだ。

古沢から国道246号を左折すれば駿河小山方面に向かえる。そこから大井松田ICまでは坂道カーブ続きだが、途中に、同郷の店主が営む美味しい店、ドライブイン『峠』があるので、いつも楽しみだった。



もともと女性が苦手な一郎は隣の席の女性に対し、何を言っていいかわからず、少し気を使った。

一郎:「大丈夫?」

女性はまだ少し不安そうな表情をしているようだ。

暫くすると慣れたのかどっちともなく再び話し始めた。一郎は不安そうな女性に、どうしていいか分からず、取りあえず緊張しながら、しどろもどろに自己紹介をした。

一郎:「あ、自分、中川一郎。みんなから一郎ちゃんて呼ばれてます。見ての通りトラックドライバーってか、そいうことで、宜しく」

女性はイケメン顔の一郎が緊張して話すギャップに、彼を見ながら笑みを浮かべ、何の混じりけも無い日本語で、お礼と自己紹介をした。
女性:「ふふっ、ありがとう一郎さん。私の名前はフィル・サイモンです。よろしく」

一郎はフィルの流暢な日本語と、響きの良い名前を誉めた。
一郎:「フィルっていうんだ。ヘー、いい名前だね。日本語も上手だね」

フィルは一郎の素朴な人柄を知り、そのギャップに安心したのかもしれない。彼女の顔には優しい笑みが浮かび、話し始めた。それは新たな冒険への始まりのようだった。

フィル:「ありがとう。アメリカから来たジャーナリストです。『UFO』という雑誌の特派員をしています。日本語版もありますよ、ご存知ですか?」

驚いた一郎、彼女は自分の愛読書『UFO』日本語版の雑誌記者だった。
一郎:「へー、ジャーナリストなんだ。えーっ『UFO』日本語版って、ユニバーサル社のだよね?ちょまって、俺の愛読書じゃん、なまらっ(超凄い)偶然」


フィルは一郎が自分の在籍する雑誌社の読者、しかも彼女の担当マガジン『UFO』だと知り、大きな親しみを感じた。フィルは友人と話すような口調で一郎に話しかけた。
フィル:「一郎さん読者なんだ、うれしい」

 一郎もフィルの口調が話しやすくなったのを感じ、心地よさそうに頷いた。それから、彼は北海道弁も混ざり自分調で話し始めた。それは彼の心の中で何かが変わった瞬間だった。
一郎:「で、そっち、ごめん、フィル・サイモンさんだっけ?どこから来たんだい?」

フィルによれば、彼女はフィンランド出身で、両親の関係で日本に住んでいたが、現在は両親も亡くなり、一人でアメリカに住んでいるそうだ。また、フィルという名前はヨーロッパでは、主に男性が使う名前だと教えてくれた。

自己紹介をしている最中に、フィルのお腹が“グゥルル”と鳴った。
フィル:「アッ、フィルでいいよ」


一郎は彼女の話にうなずきながら、さりげなくお腹がすいているかどうか尋ねた。

一郎:「フィルもさ、一郎って呼んで。そろそろお腹すかないかい?」

一郎の問いかけに、少し恥ずかしそうに答えたフィル。

フィル:「少し、すいたかな」

一郎は彼女を自分の行きつけの飯屋に誘った

一郎:「俺達ドライバー仲間がよく立ち寄る何でも美味しい店があるんだけど、そこで食事するのはどうだい?」

楽しそうに話していたフィルが突然、無言になった。

フィル:「…」

無言になったフィルを見て、一郎は何か気に障ることを言ったのかと?もともと女性と話すのが苦手な一郎は困った。

一郎:「フィル、何か悪い事言った?ゴメンね」


フィルは何か嫌な予感がして黙っただけだった。直ぐ一郎に気遣っい恋人のように振る舞った。

フィル:「違うの、一郎のせいじゃないよ、ただ何となく嫌な予感がしただけ、ゴメンね。そのお店でいいよ。レツゴー」

この間、フィルの直感通り、二人のトラックから数十メートル後方に、黒服たちが乗る黒い4wd車が迫ってきた。


濃い色のサングラスを掛けた黒服の一人、助手席に座るデイックがどこかと無線で連絡を取り合っていた。

デイックが無線で”ヘロー、こちらはデイック。ターゲット逃走。ジミーと一緒に後を追う”と送信した。

一郎とフィルはトラックに乗り込み、しばらく国道246号を進んだ。そして大きな看板が目立つドライブイン『峠』の駐車場に到着した。駐車場には大小さまざまなトラックや商用車、乗用車が所狭しと、ひしめき合って、活気に満ちていた。一郎は、国道246号線から見えにくい店舗の裏側の未舗装のジャリで敷き詰められた業務用の駐車場にトラックを隠すように停め、エンジンを切った。


”ドルーン、ツーツー、ツー、カチッ”

店の方を見ると建物に赤や青色のイルミが輝き始めていた。実は一郎の馴染み店だが、この店がリニューアルしてから初めて来た。

最初に一郎がフィルを気にしながら、トラックから降りた。

”カチャ、ストッ、ジャリ”

一郎:「着いたよ、ここリニューアルしたばかりでさ、家族で入れるお店っでいうんだけど、ドライバーからは洒落過ぎて照れくさいって、アツ、フィル、気を付けて降りて」

フィルは、助手席側のドア開け、一郎に続いて、ニッコリと笑いながら降りた。
”カチャ、ストッ、ジャリ”

フィル:「ドライブインか、大好き、懐かしいな」


都会のジャーナリストの意外なフィルの言動に、彼女を見つめる一郎。

一郎:「普段からもっと洒落た店が、行きつけとかじゃないんだ?」
フィル(心の中):「(一郎って女性はみんな、お洒落な所が好き)と思っているんだ」

フィルは元々田舎の牧場育ちだったことを明かし、それに一郎は驚きを隠せなかった。

フィル:「元々田舎の牧場育ち、ただのシューエール・ホースガール(じゃじゃ馬娘)」

一郎(心の中):「(牧場の娘って、きっと金持ちのお嬢さんなんだろうな)と思った」

一郎:「馬娘?いいじゃん、、しゃっこ(寒い)腹減った」

一郎は女性が苦手だが、隣にいる妖精のような美しいフィルに戸惑っている。しかし、フィルはそれを見抜き、ショック療法で一郎をからかう小悪魔のように振る舞った。



フィルは一郎が緊張していることを見て、「よーし、一寸からかってみよう」と思い、無言で自分の腕を一郎に回し一言囁いた。

フィル:「寒いね」

一郎の心臓はドキドキと高鳴り、爆発寸前のようだった。しかし、彼はそれを抑えて、北海道弁で言い返した。
一郎:「しばれるね(寒いね)」

一郎は女性が苦手だが、妖精の様なフィルの存在に耐えている。フィルは一郎をからかうことで彼を楽しませて落ち着かせようとする。二人はすぐに親しくなり、店に入って行った。しかし、その間にも、例の黒服たちの4wd車が刻々と接近していた。

これで二節『ドライブイン』はおわり、次回はいよいよ第三節『憩いの場所』トラック・ドライバーの天国には美しい姫がいた。一郎とフィルを国道側の入り口で待ち構える黒服たち。二人の運命いかにー乞うご期待!



物語の主要な要素を簡潔に伝えています。ただし、物語の詳細やキャラクター間の関係性などは省略されています。それらを理解するためには、プロローグから全文を読むことをお勧めします。


・・To Be Continued・・

一郎(心の中):「(お願いだから離れてー)」と思った。

■データ 本文*で囲った言葉*

※古くて汚い店⇒昔からある頑固な店主で料理の旨い店を下町や長距離ドライバーなどが皮肉って言った造語=誉め言葉
※トンボ⇒片道輸送のこと。帰りは荷物なしで会社にというような意味
※一之宮のルミ⇒著者が好きな甲州ワインの老舗ワイナリー
※気立てが良い」⇒「素直で心優しく、他者を気遣う性質」を表します。つまり、「気立てがいい」とは、簡単に言うと「性格がいい」ということです。また、「気立て」は「親切」「悪気がない」というニュアンスも含まれており「気立てがいい」と言われたときは、基本的にポジティブな意味として捉えていいでしょう。
※看板娘⇒客をひきつけ、店に足を運ばせる理由にもなる、魅力のある娘を指す表現
※シューエルホースガール→shrew horse girlじゃじゃ馬娘「とは、目上の人の言うことを聞かない女性のことを意味しています。 その他にも、人に中々慣れない暴れ馬という意味も持っています。
ドライブイン→(英:drive-inまたはdrive-inn)とは、自動車に乗車したままで乗り入れることのできる商業施設のことである。本来はドライバーの休息、食事の店に簡易な宿泊施設を備えたdrive-innが原型で、innは小規模な家族的旅館を意味した。※キャブ=トラックの運転席がある部分をいう。
データ
※☆The Doobie Brothersは著者が大好きなアメリカカルフォルニア出身のROCKBANDで、オールマン・ブラザーズ・バンドレ-ナード・スキナードZZトップなどの1960~80年代の南部音楽=サザンROCKに影響され80年代に特に活躍、最初は4人BANDで、スタートし、現在は大所帯入れ替わり、BANDというよりはユニットともいえる、2023年4月頃来日予定
※御坂峠
呼称はR137号御坂隧道の富士吉田側入り口地点(標高1300 m)付近を指すようになる。また、古道の峠を「旧御坂峠」、御坂隧道の峠を「新御坂峠」と分けて呼称する場合もある。 1994年(平成6年)11月20日に後述の御坂トンネル有料道路が無料開放・国道指定されたのに伴い、国道指定を解除され、県道富士河口湖笛吹線のトンネルとなった。

(注)挿絵はオリジナル画と、フリー素材イラストACさん、イラストボックス、イラスト屋さん、街の記録さんなどのフォトやイラストをDLし、模写しています。内容イメージに合うよう色や季節感など変たりし、オリジナルと合成して使っています。ウィキペディア(Wikipedia)ウェブリオweblio、街の記録にリンク貼っています。問題ありましたらメールかコメントください。

(注)またオリジナルや改定オリジナルの著作権利はCNBweb日本放送ーradio室に全てありますので、転写はご注意下さい。


hiro900 

手嶋 広

フィクションもどきに最後までお付き合いありがとうでした。 子供のころからサイエンスフィクションが大好なおじさんがイメージしたことを文章化してみました。 嫌じゃなかったら、またお寄りください。次回もまっています。 注:これは小説ではありません。僕の創ったメッセージフィクションです。文中にたびたび出る(アイヌ)は(人、人間、人類)のことです。特定地方の士族を指すものではありませんので、ご理解ください。

コメントを残す