ナレーション:(私たちは日々、何も不自由なく暮らしています。しかし、一歩間違えば、ボタン一つで世界を不幸に陥れる可能性があることを、決して忘れてはなりません。)
ナレーション:(さて、ここで未知の宇宙に目を向けてみましょう。宇宙は無限に広がり、未知に満ちています。多くの作家が昔から作品を生み出してきました。この物語も、宇宙を題材にしています。多くの情報が飛び交う現代に生きる人々に、異なる宇宙環境で育った男女の冒険を通じて、人が追いついていない行き過ぎた文化科学と滅びゆく生態系や宇宙進出に警告と見直しをメッセージとして送ります。)
また、物語を短くまとめると、地球人の一郎とオリンポスアイヌの子孫であるオリンピアアイヌのフィルシアを中心に、宇宙船や車で冒険を繰り広げる物語。彼らは人間の科学文化と生態系の危機に警鐘を鳴らし、死という概念が存在しないオリンポスアイヌの世界観を通じて、人間の生と死について新たな視点を提供する。という内容です。
第五章「見守られて」第二節『ブルーファイル』 亡きテレビプロデューサー河島の妻、洋子に呼び出された一郎とフィルが乗り込んだトラックは、横浜に向かっていた。 フィルが一郎を見ながら言った。 フィル:「洋子さん一人で心配だね」 一郎がフィルに優しく答えた。 一郎:「お子さんもいるからね大変だよ」 フィルが一郎をまた見た。 フィル:「これか力になってあげようよ」 一郎がハンドルを操作しながら言った。 一郎:「そうだね、もうすぐだよ」
二人の乗りこんだ、大型トラックは住宅地から、少し離れた大きな敷地に車を侵入させた。ここは一郎が時々世話になっている、ツアートラックやレース用のトレーラーを扱う先輩の運営する運送会社の駐車場。指定された場所に静かに駐車した。 一郎満足そうに笑みを浮かべて言った。 一郎:「取引先の駐車場に停められて助かったね」 フィルがトラックドライバーの仕事を労った。 フィル:「日本は道路狭いから、トラックは大変だね」 一郎がフィルに笑みを浮かべて答えた。 一郎:「ま、慣れたけどね。あっちは広いから良いね。着いたよ」 フィルが駐車場にあるツアートラックを見て感動した。 フィル:「わお。素敵なアートトラックね」
一郎そんなフィルを見て説明した。 一郎:「これ全部、日本の有名なアーティストのツアートラックなんだわ。色々あるでしょ」 二人は車を降りると徒歩で数分の河島宅に向かった。 一郎:「近所に駐車出来たお陰で、ほら、あそこだよ」 フィルが一郎の指さした方を見ながら言った。 フィル:「あの白い家」 一郎が首を傾げて言った。 一郎:「でも、なんだろう?洋子さんの話って」 まもなくすると、河島の妻洋子が待つ、河島の家に到着した。インターフォンが鳴り女性の声が聞こえる。 (ピンポーン、ハーイ)
一郎がインターフォンに向かってしゃべりかける。 一郎:「中川です」 チャイムを鳴らすと、直ぐに東洋テレビ河島の妻の洋子が微笑みを浮かべ、出迎えた。 洋子:「忙しいのにごめんね。ちょっと待って、今開けるね」 ドアが開くと、ニコとして洋子が二人をエスコートした。 一郎:「ご無沙汰です」 言って、洋子を労う。 フィル:「ハーイ、洋子。、大丈夫落ち着いた?」
洋子が一郎とフィルを室内にエスコートする。 洋子:「フィル、ありがとう。なんとかね、二人とも忙しいのにごめんなさいね。遠慮なく上がって」 一郎が案内された和室にすぐに仏壇見付け、焼香した。 一郎:「お邪魔します」 フィルも一郎を真似して仏壇に焼香した。 フィル:「失礼します。素敵なおうち」 洋子は恥ずかしそうに片付けが終わっていない部屋を見回し、言った。 洋子:「ありがと。正直、散らかりぱなし。ごめんね」 洋子が二人をリビングに通すと、ソファに座る様促した後、何かを取りに行った。 洋子:「ちょっと待ってって、いま持ってくるから」
洋子は奥から戻り、手に書類を持っていた。 洋子:「これなの、主人の残した、メモに、一郎さんとフィルさんに渡せと殴り書きが書いてあったの」 一郎が洋子がテーブルに置いた書類から、先ず一番上のメモを見ながら言った。 一郎:「河島さんが、俺達にってなんでだろう?」 続いてフィルがファイルを見て洋子に言った。 フィル:「洋子、中身見ていい」 洋子が二人に中身を確認するよう促した。 洋子:「もちろん.二人に.残された大事なものだもの、遠慮なく見て」 フィルは洋子に微笑んで言った。 フィル:「ありがとう洋子」
河島が一郎とフィルに残したのは、何とアメリカの極秘プロジェクト『ブルーファイル』の機密事項が書かれているという『ブルーノート』の本物のコピーの一部だった。しかし、彼が何故二人に残したかは謎だ。 中身を確認したいが英語なので読めなかった一郎、直ぐフィルに助けを求めた。 一郎:「なんだろ?」 洋子は二人が来るまでメモ以外の中身は見ていなかった。 洋子:「私も見てないから?ごめんね」 一郎と洋子にフィルが説明した。 フィル:「これ、ブルーノート?黒塗りの無い本物のコピーだわ」 一郎がその言葉に反応した。 一郎:「えー、ブルーファイルの本物って、例のロズウエル事件?」
事件と聞いて洋子が反応した。 洋子:「なにか危険なの」 フィルが安心させた。 フィル:「観光目的の偽物も多いから、今直ぐには心配ないわ。河島は、私たちに託したのよ」 フィルの説明に洋子が安どの表情で言った。 洋子:「そうか...ありがと」 と言いながら、心配する。 フィル:「なんかっあったら、LINEしてね」 万が一を考え、フィルはSNSの頻繁な交換をするよう洋子に伝えた。
洋子から、書類を預かり、調べたら報告する約束をした一郎とフィルは、一度横須賀のアパート常盤荘に戻ることにした。 フィルは安心した顔で言った。 フィル:「洋子元気そうでよかった」 一郎は洋子の本心を心配してフィルに言った。 一郎:「うん。でも洋子さんは気丈な人だから、内心では涙こらえているのかもしれないね」 フィルが、一郎を見て聞いた。 フィル:「気丈ってどいう意味?」 一郎が、フィルの難問に答えた。 一郎:「俺もよくわかんないけど、我慢強いかな?気が強いとか、年寄りが使うね」
フィルは、一郎の言ったことを直ぐにメモした。 フィル:「つまり、他人よりも我慢強い人ってこと?」 一郎は、まだ続く難問に困り顔をした。 一郎:「まあ、だいたい...そんな感じじゃないかな」 フィルが、困っている一郎を見た。 フィル:「ふーん、わかった。我慢するのか」 一郎が話を変えたつもりだった。 一郎:「フィルは泣くタイプなのかい」 フィルが他人より我慢強いと考え、一郎がそれを肯定する。しかし、一郎がフィルが泣くタイプか尋ねると、フィルは混乱する。 フィル:「泣くって、何?」
お年寄りがよく使う『気丈』とは簡単に言えば『冷静』ということですが、若い世代のほとんどがまったく使わないか、意味を知らずに使っているのが現状です。フィルはともかく、一郎もその一人だった。 一郎、再びフィルの難問に困り顔で話を繰り返した。 一郎:「それなら、フィルも気丈なんじゃない?」 一郎、再びフィルの難問に頭を悩ませながら話を繰り返した。 フィル:「泣かない人が気丈な人なんだ」 (一郎、なんとなく分かったから、いいて、無理しなくていいよ) 困り果て、苦笑いの一郎。 一郎:「そんな感じだね。俺もよくわからなくなった」 (フィルは、まさか泣くという意味が分からないのか?) 一郎は普段何気なく使っていた”気丈”の意味をよく理解していなかった。驚くのはフィルが”泣く”意味を知らないと言う。「何かおかしい」と一郎は混乱しながら思った。
一郎とフィルが乗るトラックは約10分くらいで横須賀の日野インターに到着し、その後すぐに荒川運送のモータープールへ向かった。 一郎はハンドルを操作しながら言った。 一郎:「ここが俺の勤めてる『荒川運送』だよ。意外に大きいでしょ」 荒川運送の大きな倉庫や整備工場、事務所、独身寮、モータープールなどある大きな敷地に二人の乗ったトラックがヘッドライトを輝かせ入って来た。 フィルは、彼女の青い目をキョロキョロさせた。 フィル:「さっきのツアー会社と違って、こっちは大きな倉庫2つあるんだね」 一郎のトラックの駐車位置に来ると、そこには彼の愛車パールホワイトの可愛らしい軽自動車が置かれていた。二人は一度トラックを降りて、軽自動車に移動した。
フィルが、大きな目で一郎の愛車を見回しながら言った。 フィル:「わあ、可愛い車。色も綺麗だね」 一郎が、フィルを助手席に招いた。 一郎:「年式古いけど、パールホワイト色、見る角度で色々な色にみえるから綺麗でしょ。どうぞ」 一郎は愛車をそこから出し、トラックをバックさせてそこに駐車した。その後直ぐにフィルが待つ、パールホワイトの軽自動車に乗り換えて二人でアパートに向かった。 十分位でアパートに着くと、先に降りたフィルは高級そうなハイヒールを響かせて古い外階段を一歩ずつ上った。 (コツ、コーン、カッ) フィル:「へーこれが一郎のお城ね」 後から階段を上ると、直ぐ一郎は会社の寮に住まずに、ここに住む理由を照れくさそうに説明した。 一郎:「会社から少し離れた方が楽だからね。でも給料安いから、ここしかなくてさ、どうぞ」
愛車で、5分ぐらいで、昭和の雰囲気がある二階建てアパート『常盤荘』についた。住民用の駐車場に車を置き、二人はアパートの外階段を上った。一郎は上がるとすぐ自分の部屋を開け、彼女を招き入れ会議の準備をした。 フィルは初めて見る六畳一間の部屋中を見回した。 フィル:「かわいいお部屋。これが日本式のお部屋なのね素敵だわ」 一郎はフィルに日本の住宅事情を教えた。 一郎:「この国では金持ち以外はみんな小さな部屋に暮らしているんだよ」 二人の世間話が終わるとすぐに書類の確認に入った。フィルは洋子から預かった書類を隅々まで目を通し、一郎に翻訳した内容を分かりやすく伝えた。
フィルが一郎に書類の内容を伝えた。 フィル:「やはりブルーノートを本当にコピーしたものに間違いないわ」 一郎が内容に興味を持ち聞き返した。 一郎:「ブルーノートって、ロズウエルの『UFO』墜落事件以来本格的に組織された『UFO』の調査チームのメンバーリストや目撃情報がファイルされてるっていう例のノート」 一郎を見ながらフィルが仮説を語った。 フィル:「うん。この書類が原因で、河島は殺害されたかもしれないね」 暫くすると二人は長時間の議論や調査など疲れたのか、テーブルにしていたコタツで寝てしまった。その時、外ではフィルを追っていた黒服達が暗闇中で、一郎とフィルが眠るアパートに軍事用のガスの小型ボンベを持込、フィルの鞄の中にあるディスクの略奪計画を実行しようとしていた。 デイック:「ジミー、CBの効果は1本でいいだろ」 ジミー:「分かったデイック。ボンベをくれ、よしこれでいい、数分で効くはずだ」
異臭に気付いたのがトイレに起きた一郎だった。彼はガス漏れと勘違いして直ぐフィルを起こすと、全部の窓を開けるように指示した。 一郎:「あれ?なんだ、この匂い、やばいな、フィル、起きて、ガス漏れだ、早く窓開けて」 と窓を開ける大きな音がした。 (ガラガラ) この音が予想外だったため、黒服の男たちは慌てた。 デイック:「チッ、やばい。ジミー、ボンベ外せ」と言って焦った。 ジミー:「ちぇっ、運がいい奴らだ」と言って捨て台詞を吐いた。 黒服の男たちは全速力で車に戻り急発進させた。 (ボオーン、ギャールル) CBとはアメリカ軍が使う殺傷能力は殆ど無いが、暴動を防いだり、隠れた敵を誘き出すためによく使われる催涙ガスである。人によっては後遺症が残る。
車が去った後、静寂が戻り近所の灯りが一斉に点いた。 翌朝鼻歌混じりで料理を始めたフィル。 フィル:「グッド・モーニング一郎。目玉焼きとベーコントーストでいい」 寝ぼけ眼の一郎が玄関で何かを見つけた。 一郎:「ありがと。っで、ガスコンロ大丈夫?ちょっこれなんだろう?何か書いてあるよ」 郵便受けを見ると、ゴム製の何かが差し込まれ、よく見ると表面にUSAARMYと記されていた。
これでメッセージフィクション『ゾーラ』最後の審判 第五章「見守られて」第二節『ブルーファイル』は終わりです。最後までお付き合いありがとう。次回はいよいよ、メッセージフィクション『ゾーラ』最後の審判 第五章「見守られて」第三節『未知からの招待』突然一郎のアパートに4エンジェルズ集結、そして、その正体が判明、乞うご期待。 物語の主要な要素を簡潔に伝えています。ただし、物語の詳細やキャラクター間の関係性などは省略されています。それらを理解するためには、プロローグから全文を読むことをお勧めします。 ・・To Be Continued・・
■データ 本文*で囲った言葉*
※リル⇒この物語で創造した架空企業ーユニバサル雑誌UFOが使うAIのような電子頭脳のコードネーム。端末はタブレット型スマートフォン型スマワッチ型などある。
※お膳立て⇒すぐにとりかかれるように準備をすること。また、その準備。流れを創こと。
※ステカット⇒テレビなどで番組のテーマや関連地域の風景や動植物を録画することで、全部使わないので捨てカットと呼ぶ
※マタギ(又鬼)⇒は、日本の東北地方・北海道から北関東、甲信越地方にかけての山間部や山岳地帯で、伝統的な方法を用いて集団で狩猟を行う者を指す。
※掩体壕⇒(えんたいごう)は、軍用機などの装備・物資や人員を、砲爆撃など
敵の攻撃から守るために山に掘った横穴や、コンクリートなどで造った横穴状の施設。
※遺構⇒英語で言うところの「Feature(英語版)」が、日本語の遺構に近い概念だが、一般的に「Feature」には、垂直的なもの(ピット、壁、溝など)は含まれるが、水平的なもの(生活面、床面、庭、道路など)は含まれないとされる
※ワリウネクㇽ⇒アイヌの言葉で神は頂点はカンナムカムイだが・・特に人を創ったとされる神を指す。創造主
※アイ⇒矢
※アイヌ⇒ヒトやアイヌ人と意味する。
※アイヌモシリ⇒アイヌの土地や建物すべてを意味する。
※ワナイヌプリ⇒アイヌ語で崖っぷちで沢のある山。沢近くの険しい山ともとれる。
※ワナイモシリ⇒崖の下にある沢沿いの土地
※コタン⇒アイヌ語の集落=街ともとれる。
※コタンコロックル⇒村長、町長、市長などの集落『長』の意味で取れる。
※lollipopロリーポップ⇒棒つきキャンデー。スラッグで、幼児を象徴するものとして用いられることもある。物語の場合幼い心の残る初心な10代~20代の娘を言う造語。
※北帰行⇒渡り鳥の春の渡り。温暖な地域で越冬した鳥が、北の繁殖地に移動すること。ここでは故郷に久しぶりに戻る一郎の心情を言葉に例えた造語
※real dreamやprophetic dream予知夢、正夢→事実と一致する夢。 将来、それが現実になる夢やデジャブ過去に経験・体験したことのない、初体験の事柄であるはずにも関わらず、かつて同じような事を体験したことがあるかのような感覚に包まれること。
(注)挿絵はオリジナル画と、フリー素材イラストACさん、イラストボックス、イラスト屋さん、街の記録さんなどのフォトやイラストをDLし、模写しています。内容イメージに合うよう色や季節感など変たりし、オリジナルと合成して使っています。ウィキペディア(Wikipedia)ウェブリオweblio、街の記録にリンク貼っています。問題ありましたらメールかコメントください。
(注)またオリジナルや改定オリジナルの著作権利はCNBweb日本放送ーradio室に全てありますので、転写はご注意下さい。
hiro900